脊柱の一番下の尾骨(びこつ)いう骨に、尻もちをつくなどして強い衝撃が加わって骨折するのが、尾骨骨折です。
しびれや疼痛などの後遺障害が残ることがあります。
交通事故による尾骨骨折の後遺障害について、群馬県高崎市の弁護士が解説します。
目次
1.尾骨骨折とは
2.尾骨骨折の治療法
3.尾骨骨折の後遺障害
4.後遺障害の認定ポイント
1.尾骨骨折とは
脊柱の一番下にある逆三角形をしている下の方が尖っている「尾骨(びこつ)」という骨が、尻もちを付くなどして強い衝撃により骨折するのが、尾骨骨折です。
尾骨は「尾骶骨(びていこつ)」と呼ばれることもありますが、どちらも同じ骨のことです。
交通事故では、自転車やバイクの運転者が車と衝突して放りだされて地面に尻もちを付いた時などに尾骨骨折を発症するケースがあります。
2.尾骨骨折の治療法
治療方法は、外科手術を行わずに、「保存療法」といって骨が自然に結合をするのを待ちます。
尾骨骨折をすると、座位の姿勢を取った時に尾骨を圧迫して痛みを感じるので、横になって痛みを感じない姿勢を取るようにします。
重度の尾骨骨折は、くしゃみをしても痛みを感じ、寝た姿勢でも痛みが消えないので、鎮痛剤を処方してもらって痛みを抑え、安静を保ちます。
治療期間は数ヶ月程度ですが、一般的な治療期間を過ぎても頑固なしびれや疼痛が残る事があります。
3.尾骨骨折の後遺障害
一般的な治療期間を過ぎても、しびれや疼痛が残ってしまった場合、次の後遺障害が認定される可能性があります。
等級 | 後遺障害 | 自賠責保険金 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの | 75万円 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 224万円 |
「局部に神経症状を残すもの」とは、体の一部分に痛みやしびれなどの症状が残っている状態をいいます。
14級9号と12級13号の違いは残っている症状の程度で、12級13号の方がより強い症状が残っている状態です。
4.後遺障害の認定ポイント
後遺障害が認定されるポイントとして他覚症状があることを立証する必要があります。
他覚症状とは、レントゲンやMRI等の画像検査、理学的検査、神経学的検査、臨床検査等によって認められる異常所見のことです。
尾骨骨折は、レントゲンだけでは骨折をしたかどうかはっきりわからないことがあります。
その場合はCT撮影をする他、痛みの程度や尾骨付近の筋肉の動きなどから総合的に尾骨骨折をしているかどうかを判断してもらう事が重要です。
また、痛みの症状について、後遺障害診断書に適切に記載してもらうことも重要です。
普段の診察から、「何もしていなくても常に痛む」など、ご自身の実際の症状を正確に医師に伝えておく必要があります。