ドライブレコーダーに当て逃げ犯が写っていたら?泣き寝入りしない対処法について弁護士が解説
- 執筆者弁護士 山本哲也
車を駐車していたら、戻ってきたときにボディが傷ついていた…。
このような「当て逃げ」被害は、突然誰にでも起こり得ます。
加害者が名乗り出ないケースが多いため、泣き寝入りするしかないと諦めてしまう人も少なくありません。
しかし、ドライブレコーダーに加害車両や犯人が映っていた場合、きちんとした対処をとることで損害賠償を受けられる可能性があります。
本記事では、当て逃げに遭ったときの正しい対応と損害賠償の進め方についてわかりやすく解説します。
目次
はじめに
当て逃げは、被害者が一方的に損をするように見えるトラブルですが、ドライブレコーダーの映像や適切な対応によって、加害者を特定し損害の回復につなげられる可能性があります。
ドライブレコーダーで犯人を特定することの難しさ
ドライブレコーダーの普及により、当て逃げの瞬間を録画できるケースが増えています。
ただし、画質が悪くナンバーが読み取れなかったり、夜間で車種が特定できなかったりする場合もあります。また、ナンバーが写っていたとしても、被害者個人では加害者の特定は難しく、警察や弁護士の協力が不可欠です。
駐車場での当て逃げ被害、どうする?
ショッピングモールやコインパーキングなど、無人の駐車場で当て逃げに遭うケースが多く、目撃者がいないことが問題になります。このような場合も、周囲の防犯カメラや自身のドライブレコーダー映像を活用し、証拠を確保することで、警察が動いてくれる可能性が高まります。
ドライブレコーダーの確認
当て逃げの事実に気づいたら、真っ先にドライブレコーダーの映像を確認することが重要です。映像の内容次第で、その後の対応が大きく変わることがあります。
ドライブレコーダーには、前方だけでなく後方・側面を記録する機種もあり、加害車両のナンバー、車種、色、運転手の特徴などが映っている可能性があります。事故が発生した日時や場所、加害車両の動きなどが記録されていれば、加害者特定に大きく役立ちます。
また、ドライブレコーダーは一定時間が経つと古い映像が上書きされてしまうため、事故直後に映像をバックアップ・保存することが重要です。
警察への被害届
ドライブレコーダーに加害車両が映っていたら、次は警察への届け出が必要です。当て逃げは刑事事件であり、適切な届け出が被害回復の第一歩になります。
警察への被害届の提出方法
まずは110番通報または最寄りの交番・警察署に連絡し、事故の発生状況を伝えます。ドライブレコーダーの映像や写真、被害箇所の状態をできるだけ詳しく説明しましょう。
そのうえで、物損事故届や被害届を提出し、正式に事件として扱ってもらうことが大切です。
現場検証、実況見分
警察が現場に到着すると、事故の状況確認(実況見分)を行います。実況見分は、事故の状況を警察が詳しく調べるための重要な手続きです。被害者は、実況見分に立会い、事故状況などを正確に伝えることが大切です。
保険会社への連絡
当て逃げに遭った場合、保険会社にも速やかに連絡を入れることが重要です。自己判断で修理を進めると、保険が適用されないおそれもありますので注意しましょう。
連絡のタイミング
警察への連絡と並行して、事故当日か翌日には保険会社に連絡しましょう。
事故の内容、ドライブレコーダーの映像の有無、警察への届け出状況などを正確に伝える必要があります。
保険会社の担当者の指示に従って、必要な書類や映像データを提出しましょう。
当て逃げの場合の保険適応
当て逃げで保険から補償を受けられるかどうかは、保険契約の内容次第です。
被害者が「車両保」に加入していれば、修理費用などが補償されますので、当て逃げ被害に遭ったときは、ご自身の保険内容を確認するようにしましょう。
ただし、当て逃げ事故で車両保険を使うと、翌年の等級が下がる可能性があるため、保険を利用するか、自己負担するかの比較検討も必要です。
犯人が見つかった!損害賠償の進め方とは
ドライブレコーダーの映像や警察の捜査によって加害者が特定された場合、損害賠償請求することが可能です。ここでは、示談交渉や損害賠償請求の流れ、弁護士に相談すべきタイミングについて詳しく説明します。
示談交渉?損害賠償請求?
加害者が自動車保険に加入している場合、多くはその保険会社を通じて示談交渉が行われます。
保険会社が修理費や代車費用などの実費を補償してくれるため、比較的スムーズに解決できるケースも少なくありません。
しかし、加害者が任意保険に入っていない場合や、事故を否認している場合には、直接本人と示談交渉を行うか、民事訴訟で損害賠償を求める必要があります。
特に、悪質な当て逃げや修理費用が高額な場合は、交渉での解決は困難ですので訴訟を検討した方がよいでしょう。
示談交渉・損害賠償の手続きの仕方
示談交渉を進めるには、まず被害状況を正確に証明する証拠が必要です。
修理の見積書や写真、ドライブレコーダーの映像などを整理しておきましょう。
また、代車を使用した場合はその費用も請求対象になります。
示談に至った場合には、「示談書」を作成することが重要です。
示談書には、支払金額・支払期日・今後の責任の有無などを明記しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
相手が示談に応じない、または支払いを拒否するような場合には訴訟を提起する必要があります。
弁護士への相談のタイミング
加害者が保険未加入で自己負担を拒否している場合や示談交渉がこじれている場合には、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、証拠の整理から損害額の算定、示談交渉の代理まで任せることができます。
特に、相手が真摯な対応をしない、責任を否定しているようなケースでは、弁護士が介入することで相手が真剣に対応せざるを得なくなるという効果もきたいできます。
泣き寝入りせず適切な賠償を受けるためにも、状況に応じて弁護士への相談を検討してみてください。
困ったときは弁護士にご相談を
当て逃げは、被害者にとって精神的にも大きな負担となるトラブルです。
相手が特定できたとしても、交渉がうまくいかない場合には専門家の助けが不可欠です。
示談交渉や損害賠償請求には、法的な知識と冷静な対応が求められます。
相手が誠意を見せない、保険対応に納得できない、訴訟を検討しているといった場合には、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、証拠の整理や損害額の算定、示談書の作成から交渉・訴訟の代理まで一括して対応してくれます。
また、法的な観点から今後の進め方についてのアドバイスを受けることで、不安やストレスを軽減できるのも大きなメリットです。
加害者と直接やり取りする精神的負担を避けたい場合にも弁護士の利用が有効です。
泣き寝入りせず、正当な補償を受けるためにも、当て逃げ被害でお困りの際は、弁護士法人山本総合法律事務所までお気軽にご相談ください。