腰椎圧迫骨折で後遺障害が認定されるケース
- 執筆者弁護士 山本哲也

交通事故で腰椎圧迫骨折のケガを負うと、後遺障害が認定される可能性があります。
認定の有無や等級によって損害賠償額が大きく変化するため、適正な等級認定を受けるのが重要です。
本記事では、腰椎圧迫骨折で認定される後遺障害等級や認定のポイント、慰謝料相場などを解説しています。
交通事故で腰椎圧迫骨折のケガを負った方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
腰椎圧迫骨折とは

腰椎圧迫骨折とは、背骨のうち腰の部分に圧力がかかり、潰れた状態になった骨折です。
日常生活では転倒などにより生じる可能性があり、交通事故でも腰に強い衝撃が加わることで生じるケースがあります。加齢により骨粗しょう症になっていると、軽い力が加わっただけで骨折するケースも少なくありません。
腰椎圧迫骨折のケガを負うと、腰に強い痛みが生じるほか、下半身のしびれが生じる場合もあります。
治療法としては、コルセットで固定する保存療法が基本ですが、重度だと手術も考えられます。
いずれにしても回復までは相当の時間を要し、後遺症が残るケースもある重大なケガです。
腰椎圧迫骨折で認定される後遺障害等級

腰椎圧迫骨折の治療をしても回復せず後遺症が残る場合には、交通事故における後遺障害が認定される可能性があります。
認定を受けられる症状、認定基準、等級は以下の通りです。
変形障害
背骨に変形が残ると、変形障害となります。認定される可能性のある等級は以下の3つです。
| 等級 | 認定基準 |
| 6級5号 | 脊柱に著しい変形を残すもの |
| 8級相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの |
| 11級7号 | 脊柱に変形を残すもの |
「変形を残すもの」として11級が認定されるのは以下のケースです。
- 腰椎圧迫骨折を残していることがX線写真等により確認できる
- 脊椎固定術が行われた
- 3個以上の脊椎について椎弓形成術を受けた
変形の程度が大きくなると、8級や6級が認定される可能性があります。
いずれにしても、MRI・CT・X線といった画像による裏付けが必要です。
運動障害
骨折の影響で脊椎の動きが大きく制限されると、運動障害が認定される可能性があります。
認定される等級と認定基準は以下の通りです。
| 等級 | 認定基準 |
| 6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの |
| 8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
8級の「脊柱に運動障害を残す」とは、頸部または胸腰部のいずれかの可動域が1/2以下に制限されており、かつ、次のいずれかを満たす状態をいいます。
- ・頸椎または胸腰椎に圧迫骨折を残していることがX線写真等により確認できる
- ・頸椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われた
- ・項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められる
さらに頸部と胸腰部のいずれにも強直が見られる場合には、6級が認定される可能性があります。
荷重機能障害
骨折の影響で脊椎の身体を支える機能に問題が生じた場合には、荷重機能障害が認定される可能性があります。
等級は、6級あるいは8級です。
8級が認定されるのは、頸部または胸腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするケースです。
頸部と胸腰部の双方の保持に困難をきたしているときは、6級となります。
神経症状
骨折による痛みやしびれが残っているときは、神経症状として等級が認定されるケースがあります。可能性があるのは12級と14級です。
| 等級 | 認定基準 |
| 12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
| 14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級が認定されるのは、画像等から痛みの原因を医学的に証明できるケースです。
画像等からは明らかでなくとも、各種事情を総合的に鑑みて痛みを医学的に説明できるときは14級となります。
等級認定のポイント

たとえ症状が存在しても、認定を受けない限りは十分な補償を受けられません。
後遺障害の認定を受けるにあたっては、以下の点がポイントとして挙げられます。
画像検査をする
腰椎圧迫骨折による後遺障害を認定してもらうには、客観的な証拠が必要です。
とりわけ、MRI・CT・X線といった画像検査は重要になります。
たとえば、事故直後に撮影して交通事故によるケガであることを示す、最終的な状態を撮影して後遺障害が残っていることを示すといった意味があります。
治療を継続する
医師の指示にしたがって、治療を継続してください。回復のために不可欠なだけでなく、完治せず後遺症が残った場合にも大切になります。
仮に途中で治療をやめたり中断したりしてしまうと、治療経過がわからない、症状が軽いと判断されるといった問題が生じ、結果的に妥当な等級認定を受けられないリスクが生じます。
身体的な観点からはもちろん、適正な補償を受ける観点からも治療をやめていいことはありません。必ず医師の指示にしたがって治療を続けるようにしましょう。
弁護士に相談する
後遺障害認定は弁護士に相談・依頼するようにしてください。
医師は治療のプロではあっても、交通事故の後遺障害認定に詳しいとは限りません。後遺障害診断書に記載漏れがあったり、必要な検査をしていなかったりするケースがあります。
交通事故に精通した弁護士に相談すれば、申請や認定が適切に行われているかを判断できます。
依頼すれば、申請や異議申し立て手続きの代行も可能です。加えて、認定後の示談交渉や訴訟等まで任せられます。
適正な等級認定を受け、できる限りの補償を受けるには、弁護士に相談するようにしましょう。
腰椎圧迫骨折で請求できる慰謝料の相場
腰椎圧迫骨折により後遺障害が認定されれば、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料を受け取れます。
腰椎圧迫骨折で考えられる等級について、弁護士基準と自賠責保険基準による後遺障害慰謝料の相場は以下の通りです。
| 等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
| 6級 | 512万円 | 1180万円 |
| 8級 | 331万円 | 830万円 |
| 11級 | 136万円 | 420万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
弁護士基準は、自賠責保険基準の2~3倍程度です。
弁護士に依頼して弁護士基準で請求すれば、慰謝料の大幅な増額が期待できます。
加えて、後遺障害が認定されると逸失利益も補償されます。
逸失利益とは、交通事故がなければ得られたであろう将来の収入です。
ただし、「後遺障害が残っても仕事に影響はないはずた」として相手方が逸失利益の支払いを拒否する場合も少なくありません。
弁護士に依頼して仕事への影響を主張すれば、適正な補償を受けられます。
まとめ

ここまで、腰椎圧迫骨折による後遺障害について、認定される等級や認定のポイント、慰謝料相場などを解説してきました。
交通事故で腰椎圧迫骨折のケガを負うと、変形障害、運動障害などで後遺障害認定を受けられる可能性があります。
もっとも、正しく治療や申請を行わないことが原因で、適正な等級が認定されないケースも少なくありません。最終的な賠償金額に大きな影響を与えますので、交通事故に精通した弁護士への相談をオススメします。
交通事故で腰椎圧迫骨折のケガを負った方は、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。
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