過失相殺とは、交通事故の発生や損害の拡大について被害者側にも落ち度がある場合に損害賠償額をその落ち度の程度に応じて減額するというものです。例えば、交通事故の発生について加害者の過失割合が9割、被害者の過失割合が1割と判断される場合、交通事故により被害者側に生じた損害額から1割を引いた額が、被害者が加害者に対して賠償を求めることのできる額ということになります。

交通事故における各当事者の過失割合については、最終的には裁判所が個々の事案ごとに事故状況等を考慮して判断することになります。もっとも、事実上、基本的な事故類型ごとに各当事者の過失割合を定めた過失相殺基準があり、これを参考にしながら個々の事案ごとの具体的事情を考慮して各当事者の過失割合を判断するという場合が多いと言えます。

なお、被害者が幼児の場合、被害者本人の過失を理由とした過失相殺がされない場合があります。これは、判例において、被害者である未成年の過失を損害賠償額算定にあたり考慮するには未成年者に事理を弁識する知能が備わっていることが必要であるとされているからです。判例のいう「事理を弁識する知能」が何歳であれば備わっていることになるのかは個々の事案ごとにことなると思われますが、5、6歳で備わると判断した裁判例が多いと言われています。また、被害者が幼児のため被害者本人の過失を理由とした過失相殺が否定される場合でも、被害者の両親等に交通事故の発生や損害の拡大について落ち度があるという場合には、これらの者の過失を理由とした過失相殺がされる場合があります。

一方、自賠責保険は、被害者救済を目的とした保険なので、過失相殺について異なった処理がされています。すなわち、被害者に重大な過失がなければ相殺されずに保険金額を全額請求することができます。自賠責保険における重大な過失とは7割以上の過失です。