交通事故事件の裁判実務では、医師の指示や症状の程度により将来にわたる介護の必要性が認められる場合には、将来の介護費用を被害者の損害として認めています。

介護費用とは、脳損傷や脊髄損傷により植物状態になった場合や(遷延性意識障害)、重度の高次脳機能障害、重度の麻痺のように介護が必要な重度の後遺障害を被害者が負った場合に、その被害者の介護や付添にかかる費用のことです。被害者の近親者が介護をする場合は、その者の肉体的、精神的な負担も考慮されます。

将来の介護費用は、一般的には、以下の計算式に基づいて算定されます。すなわち、
日額×365日×「症状固定時からの平均余命年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」
です。

 日額については、介護を行うのが職業付添人なのか被害者の近親者なのかによって異なります。一般的には、職業付添人については実費全額、近親者の場合は1日につき8000円とされていますが、後遺障害の内容・程度や、具体的に必要とされる介護の程度などによっても異なります。

将来の介護費用は、通常は損害賠償として現時点で一括払いされます。一方、介護費用は将来に渡って必要となるので、将来取得予定の金銭を現在の金銭価値に引き直さなくてはいけません。この調整行うのが中間利息控除で、裁判実務では年5%のライプニッツ係数(複利計算)が採用されます。平均余命年数は、簡易生命表を用いて計算するので、表が改定されれば数値が変わります。例えば、年齢50歳の男性の平均余命年数は、平成22年の簡易生命表を用いた場合31.51年で、切り上げて32年と考えるとこれに対応するライプニッツ係数は15.8027です。