執筆者弁護士 山本哲也
後遺障害逸失利益の算定にあたって、労働能力喪失期間はどのように決まるのですか?
現在の実務上、症状固定時から67歳までの年数が労働能力喪失期間として認められています。ただ、後遺障害の具体的症状、職種、地位、健康状態、能力等によって上記原則と異なった判断がされる場合があります。 交通事故による受傷が原因で、後遺障害が残ることがあります。そして、その後遺障害により、仕事に支障が生じ、収入が減少してしまうこともあります。
この点、交通事故による受傷が原因で、後遺障害が残り、労働能力が低下して収入が減少するような場合には、その補償を受けることができます(これを後遺障害逸失利益といいます)。
具体的な計算方法としては、現在の実務上、「基礎収入」に「労働能力喪失率」及び「労働能力喪失期間」を乗じた金額となります。
この点、「労働能力喪失期間」とは、後遺障害が残ったことにより、労働能力が低下する期間のことをいいます。そして、一般的に、67歳までが就労可能年数と考えられていることから、症状固定時から67歳までの年数が、労働能力喪失期間として認められます。
なお、症状固定時の年齢が、67歳を超える方や、症状固定時から67歳までの年数が簡易生命表の平均余命年数の半分よりも短くなる方については、現在の実務上、原則として簡易生命表の平均余命年数の半分が労働能力喪失期間とされています。
ただ、労働能力喪失期間の終期は、後遺障害の具体的症状、職種、地位、健康状態、能力等によって上記原則と異なった判断がされる場合があります。
例えば、むち打ち症の場合には、現在の実務上、12級13号(「局部に頑固な神経症状を残すもの」)で10年程度、14級9号(「局部に神経症状を残すもの」)で5年程度に制限する例が多く見られます。
より詳しいことにつきましては、一度、交通事故の実務に精通した弁護士にご相談ください。