逸失利益の算定にあたっては、以前お話しましたように、基礎収入額がいくらかを認定することが必要になります。会社員であれば給与額にもとづいて基礎収入額を認定することが出来るので問題は少ないのですが、個人事業主の場合ですと基礎収入額をどのように認定するかが問題になります。

個人事業主の基礎収入の原則としては、確定申告所得額を基礎とします。そして通常ですと、交通事故にあう前年度の確定申告の所得額が基礎収入となり、青色申告控除をされている場合には、控除額を引く前の金額が基礎収入となります。そして家族で経営をされている方も多いかと思いますが、所得が資産による収益や家族の労働などを総体としている場合には、所得に対する本人の寄与部分の割合によって計算されています。 

また、実際の収入金額が申告した所得額と異なっている場合には、その実際の収入額を立証することが可能であればそれが基礎収入になります。たとえば、確定申告の所得額を上回る収入があった場合にはその実際に得た収入が立証されることによって、基礎収入として認定されるということです。しかしこの点につきましては、裁判所ではかなり確実性のある立証を求められますので、簡単にこの主張が通るというわけではありません。

一方、確定申告を一切していなかった場合でも直ちに基礎収入がゼロとされ逸失利益が否定されるわけではありません。他の証拠により相当の収入があったと認められるときは、賃金センサスの平均賃金額を参考にして基礎収入額を認定する例が多いようです。