執筆者弁護士 山本哲也
5歳の息子が交通事故で死亡。損害賠償額の計算方法を知りたい。
交通事故の被害者の方が事故により死亡してしまった場合、次の項目を相手方に請求する事ができます。
死亡慰謝料、死亡逸失利益、葬儀費用に加え、治療費、入院雑費、近親者の付添看護費、傷害慰謝料などが主な損害項目となります。
子供や幼児が亡くなった場合の死亡慰謝料については、一般的に2000万~2200万円と言われていますが、あくまでも目安であり、具体的な事情に応じて増えたり減ったりすることもあります。また、2000万~2200万円という額は、亡くなった被害者本人のみならず被害者の近親者(遺族)の慰謝料を含めた場合の目安とされています。
18歳以下の年少者の死亡による逸失利益の計算方法は、原則として下記計算式によります。
◇賃金センサスの全年齢平均賃金×(1-生活費控除率)×{(67-死亡時年齢)のライプニッツ係数-(18-死亡時年齢)のライプニッツ係数}
このような計算方法は、事故に遭って死亡することがなければ18歳から仕事に就いて、平均賃金と同額の収入を得ていたであろうという前提で、事故に遭わなければ得られていたはずの収入を計算するというものです(ですから、例えば、大学に進学することが確実であったような場合は、大卒者の平均賃金で22歳から働き始めることを前提にして死亡逸失利益を計算するということも考えられます)。もっとも、事故に遭わずに生きていれば、食費などの生活費がかかっていたはずであるため、この分を生活費控除という形で差し引いています。
葬儀費用については、原則的な目安としては150万円とされ、実際に支出した額がこれを下回る場合には、実際に支出した額が基準になります。
以上に加えて、事故後亡くなられるまでに受けた治療の費用はもちろん、事故後入院され治療を続けたものの亡くなられた場合には、入院雑費や近親者の付き添い看護費用が損害項目として考えられます。また、事故の後相当期間治療を受けた末に亡くなられた場合には、死亡慰謝料とは別に傷害慰謝料が認められるとされています。