執筆者弁護士 山本哲也
交通事故における「後遺障害」と「後遺症」の違いとは?
交通事故で大けがをしたあと、痛みや動かしにくさがずっと続いてしまうことがありますよね。 そんなとき、「後遺症(こういしょう)」や「後遺障害(こういしょうがい)」という言葉を目にすることがあると思います。 この2つ、似ているようで実は大きな違いがあるんです。 ここでは、事故後に損をしないために、弁護士の視点からその違いをわかりやすく説明します。
「後遺症」は、治っていない症状のこと
「後遺症」は、事故でけがをしたあとにずっと残ってしまった症状のことをいいます。
たとえば…
- 足の骨折が治ったけど、曲がりにくい
- 首のむちうちが原因で、頭痛やめまいが続いている
- 手がしびれて、細かい作業がしづらい
など、「治療しても元通りにならない症状」はすべて後遺症です。
これは医師の診断や医療の観点から使われる言葉であり、法律とは直接関係しない医療上の表現です。
「後遺障害」は、保険金をもらうための“認定された後遺症”
後遺症があるだけでは、自動車保険から後遺障害慰謝料はもらえません。
「この症状は、保険でお金を支払う価値があるものです」と
正式に認めてもらった後遺症のことを「後遺障害」といいます。
この認定を受けることで、以下のようなお金を請求できます。
- 後遺障害慰謝料(ずっと続くつらさへのお金)
- 逸失利益(仕事に支障が出て、将来の収入が減る分)
認定機関と手続き
後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構(自賠責保険の運用団体)が行います。
認定を受けるには、「後遺障害診断書」や画像資料を基に、事前認定または被害者請求の手続きが必要です。
後遺症があっても、後遺障害と認められないことも
たとえば、
「事故以来ずっと痛いんです。でもレントゲンで異常が見つからないので、後遺障害とは認められませんでした。」
ということは、実際によくあります。
そのため、後遺障害の認定を受けるためには、
- 医師にしっかりと症状を伝える
- 画像検査(MRIなど)を受ける
- 必要な書類をそろえる
など、きちんと準備が必要です。
弁護士に相談すると、こういうメリットがあります
- 後遺障害の等級認定をサポート
- 認定されなかったときの「異議申立て」も代行
- 保険会社との交渉もお任せできる
- 慰謝料が増額されるケース多数
しかも、多くの方が入っている自動車保険の「弁護士費用特約」を使えば、
弁護士費用が実質ゼロ円で相談・依頼できることもあります。
【まとめ】
「後遺症」と「後遺障害」の違いをまとめると、下記の通りです。
項目 | 後遺症 | 後遺障害 |
---|---|---|
意味 | 医学的な症状の残存 | 法律的に等級認定された症状 |
用途 | 医療の現場 | 損害賠償の場面 |
認定機関 | 医師の診断 | 損害保険料率算出機構など |
賠償の可否 | 基本的に不可 | 認定されれば可 |
「つらい症状が続いているのに、保険会社に軽く扱われて困っている…」
そんな方は、一度弁護士に相談することで状況が大きく変わることがあります。
「後遺症が残ってしまったかもしれない」と感じたら、早めの行動が大切です。