交通事故によって被害者が亡くなった場合、生きていれば働いて得られたはずの利益、つまり逸失利益を加害者側に請求することが可能です。

しかし、被害者が亡くなったときに仕事に就いていたならば請求は問題なく可能ですが、被害者が職を失って職を探している最中だったという場合もあります。

このような、いわゆる失業者の方については、事故に遭って亡くなったときには収入がないことになるので、逸失利益が認められるかが問題になります。

この点については、失業者であっても、職を得ることができたと言える場合には、逸失利益を認めることが可能です。具体的には、労働する能力と意欲があって、再び職に就く可能性が高かったと言える場合は、収入を得ることができただろうと考えられるので、逸失利益を認めることが可能なのです。

その場合、逸失利益の計算の基礎になる収入がいくらなのかが問題になりますが、これについては、再就職によって得られるはずだった収入がどれくらいなのかを考えることになります。しかし、就職先が内定していた場合でない限り、具体的にいくらの収入が得られる予定だったのかは分からないのが普通です。

そのため、再就職すれば得られたであろう収入については、被害者が事故前に仕事に就いていたときの収入を参考にするという考え方と、平均賃金を参考にするという考え方の、大きく2つの考え方があり得ます。

この2つの考え方は、どちらかが正しいというものではなく、実務でも、適宜妥当な考え方を用いているようです。

もっとも、例えば、被害者が若者の場合、失業前に短期間だけ就いていた仕事の低い収入から一生の逸失利益を計算するのは、実態にそぐわないことが多いでしょう。このような場合には、平均賃金を参考にする方が合理的と考えられます。