したがって、いったん示談してしまうと、被害者は、実際には示談書の内容を越える損害が生じていたとしても、加害者に対して賠償を求めることができるのは示談書で確定された損害額にとどまることになります。
以上の通りですから、示談するかどうかについては慎重に判断する必要がありあます。
また、相手方の保険会社の提案する示談内容というのは、自賠責保険の基準やその保険会社の内部基準に基づいて算定された損害額を前提にするもので、裁判をした場合に認められると予想される損害額に比べると低額にとどまっている場合がほとんどです。
そのため、相手方の保険会社の提案内容を鵜呑みするのではなく、内容についてご自身で検討してみる必要があります。相手方の保険会社の提案内容が適切なものかどうかご自身で判断できないという場合には、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
なお、今回のケースでは後遺障害の認定手続を経ていないようですが、後遺障害の有無やその程度によって、加害者に賠償を求めることができる損害額が大きく変わってきます。そのため、症状によっては自賠責保険に対して被害者請求を行うなどして後遺障害の有無や程度について判断を受ける必要があります。