したがって、いったん示談書を作成し、取り交わし、賠償額を確定すれば、被害者はそれ以上の損害について加害者へ請求ができなくなり、加害者はその責任を免れるのが原則です。
しかし、示談をしてしまえば、それ以外に請求が絶対に不可能であるとした場合、かえって公平の原則からみて、被害者側に苛酷となる結果も考えられます。
裁判例では、ある一定のケースの場合、例えば、示談締結後に重大な後遺症が出たとか、示談金額が非常に低額で、著しく正義に反すると考えられる場合などについては、示談が無効(全部または一部が)とされた事例もあります。
示談の有効・無効の判断基準は、
①示談が締結された当時の事情はどうか
②示談締結当時、その損害発生につき当事者が予見できたかどうか
③示談締結の際に、被害者の受け取った金額がどの程度であるか、
等の事情を基準として判断がなされることになります。
示談が無効となった場合には、訴訟を提起することができます。