物損については、現在の我が国における裁判実務上は、原則として(すなわち、特段の事情がない限りは)慰謝料の請求は認められません。

交通事故による損害は、大きく人身損害(人損)と物的損害(物損)に分けることができます。

人損は、負傷や死亡という、人の生命・身体について被害を受けたことによる損害のことです。この人損については、負傷したことによる慰謝料、後遺障害が残ったことによる慰謝料、死亡したことによる慰謝料など、精神的な損害に対する賠償である慰謝料が認められます。

一方、自動車等の物が壊れたという物損については、現在の我が国における裁判実務上は、原則として慰謝料が認められません。もっとも、常に認められないわけではなく、特段の事情がある場合には認められることがあります。

しかし、この点、自動車についてそれが高級車で愛着が強いというだけでは、裁判において、そのような特段の事情があるとはいえないと判断される可能性が高いでしょう。

なお、物損について慰謝料が認められた例としては、お墓が壊された等の例があります。

このように、現在の我が国における裁判実務上は、社会における常識に照らして強い精神的苦痛を受けるであろうと考えられる事情がある場合にのみ、例外的に物損に関する慰謝料が認められています。