交通事故によって壊れた自動車を全塗装したいのですが、全塗装の費用を加害者側に請求できますか?

交通事故によって損傷した自動車の修理として塗装をする場合、基本的には修理部分周辺だけを塗装する部分塗装の費用しか請求できません。ただし、特別な事情があれば、自動車全体を塗装する全塗装の費用を請求することができます。

交通事故の被害者は、自動車等の物が壊れた場合に、修理費の賠償を加害者側に求めることが可能です。

そして、自動車を塗装し直す修理方法には、修理部分周辺だけを塗装する部分塗装と、全体を塗装する全塗装の方法がありますが、部分塗装では微妙な色ムラが生じるといった理由から全塗装を希望する被害者もよくおられます。

しかし、修理費は社会通念に照らして相当と言える範囲でのみ加害者側に請求できるところ、全塗装は部分塗装よりも費用が高くなりますので、全塗装が相当な修理と言えるかが問題になるのです。

この点、通常は壊れた部分とその周辺だけを塗装すれば十分と考えられますから、部分塗装の修理費用しか請求できません。

ただし、特別な事情があれば、全塗装の費用を加害者側に請求することができます。例えば、裁判例では、その自動車が高級車でありその価値の大部分が外見にあること、破損部分だけを塗装すると他の部分との色の違いが目立ってしまうこと等を理由として、全塗装の費用の請求を認めた例があります。

一方で、全塗装の修理代と部分塗装の修理代との差があまりに大きいとか、事故の時点で既に自動車が古くなっており色褪せが生じていたといった事情は、全塗装が認められにくくなる要素と考えられます。

このように全塗装の費用の請求が認められるかどうかは、それぞれの事案毎の判断になるのですが、一般的には認められるのが難しいと言えるでしょう。