実況見分調書は人身事故の直後に警察によって作成されます。実況見分調書を作成する目的は事故の状況をはっきりさせるためで、示談交渉や事故の裁判に影響を与える重要な書類です。なお、物件事故の場合、一定の場合を除いて、実況見分が行われないことになっていますので、実況見分調書が作成されていない場合があります。この場合、事故状況についての資料としては「物件事故報告書」が作成されますが、実況見分調書と比べると、その内容はかなり簡略されたものになっています。

実況見分調書を作成する際には、当事者が救急車で病院に搬送され入院していない限り、当事者双方を現場に立ち会わせます。警察は、立ち会った当事者の説明も聴取して実況見分調書を作成しますが、当事者の意向を確認する性質のものではないので、その内容に当事者の同意を必要としません。

では、当事者の言い分は聞いてもらえないのでしょうか。事故の当事者の言い分は、後日警察署で聴取を行い、警察官が供述調書として作成します。

実況見分調書には、以下のような内容を記録します。
◇実況見分を行った日時
◇事故の場所
◇立会人の名前
◇坂道やカーブ、雨で路面が濡れていた等、現場の道路状況
◇損傷した場所および損害の程度など、運転車両の状況
◇ブレーキを踏んだ地点や当事者双方が接触した地点などに関する立会人の指示説明

さらに、交通事故の現場の見取り図や現場の写真などが添付されています。
このように詳細に作成された実況見分調書は、刑事事件において事故状況に関する最も重要な証拠となるだけでなく、民事裁判や示談交渉においても過失割合の認定に大きな影響を与えることがあります。