1基本的な考え方

横断歩道は、歩行者が横断するために設置されている場所であることから、道路交通法上、歩行者は、横断歩道の付近においては、横断歩道上を横断しなければならないとされています(12条1項)。
一方で、横断歩道上に歩行者がある場合、車は、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつその通行を妨げないようにしなければならないとされるなど、横断歩道上を横断する歩行者に対しては強い法的保護が与えられています(38条等)。
そのため、過失割合を判断するに当たっても、横断歩道上を横断する歩行者については、過失を0%とするか、低い過失が認められるに過ぎません。

2具体的な過失割合

以下では、横断歩道上を横断している歩行者と車との衝突事故の基本的過失割合がどのようになるか、いくつか例を挙げます。
なお、以下の過失割合は、基本的過失割合であり、事故が夜間に起きた場合など、事故の状況によっては、歩行者の過失が高く修正される場合があります。

⑴青信号で横断を開始した歩行者が、黄信号に変わった時点で、赤信号で進行してきた車に衝突された場合:歩行者の基本的過失0%

黄信号の場合、歩行者には、速やかにではありますが横断を続ける自由が保障されています。そのため、歩行者には過失はないとされています。

⑵青信号で横断を開始した歩行者が、赤信号に変わった時点で、青信号で進行してきた車に衝突された場合:歩行者の基本的過失20%

道路を横断している歩行者としては、黄信号に変わった時点で、速やかにその横断を終えるか、又は横断をやめて引き返さなければなりません。そこで、歩行者に過失が認められます。もっとも、その過失はさほど大きくはありません。そこで、基本的過失割合は20%とされています。

⑶青信号で横断を開始した歩行者が、赤信号に変わった時点で、赤信号で進行してきた車に衝突された場合:歩行者の基本的過失0%

道路を横断している歩行者としては、⑵と同じように、黄信号に変わった時点で、速やかにその横断を終えるか、又は、横断をやめて引き返さなければなりません。そこで、歩行者に過失がないとはいえません。
しかし、車は、赤信号の場合には、所定の停止位置を超えて進行してはならない上、進路の前方の横断歩道上を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければなりません。そこで、これらに違反して赤信号で進行した車の過失の方が極めて大きいため、歩行者保護の見地から、歩行者の過失は0とされています。

⑷安全地帯のある横断歩道上を青信号で横断し始め、その後安全地帯の付近で赤信号になり、安全地帯の先で、青信号で進行してきた車に衝突された場合:歩行者の基本的過失30%

安全地帯とは、道路の幅が広いために、一度では道路を渡りきることができないと思われる場合に、横断歩道の中間に設けられるものです。この安全地帯には、車は進入してはいけないとされています。
安全地帯がある場合、信号が黄色や赤に変わってしまった場合、歩行者は、横断を断念して安全地帯にとどまるべき義務があるものとされます。そこで、歩行者の過失は、⑵の場合より大きいと考えられることから、⑵の基本的過失割合に10%加算されます。

⑸安全地帯のある横断歩道上を青信号で横断し始め、その後安全地帯の付近で赤信号になり、安全地帯の先で、赤信号で進行してきた車に衝突された場合:歩行者の基本的過失0%

この場合、⑷と同様に、歩行者には一定の過失があるといえます。しかし、赤信号で進入した車の過失が極めて大きいため、歩行者の過失は0とされています。

歩行者が横断歩道上を横断していた場合の過失割合については、これらの他にも様々な類型があります。より詳しいことについては、一度交通事故に精通した弁護士にご相談してみて下さい。