自転車事故の被害者が知っておきたい慰謝料の相場と注意点 | 【無料相談】群馬で交通事故に強い弁護士なら山本総合法律事務所
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自転車事故の被害者が知っておきたい慰謝料の相場

「群馬県は日本一自転車事故の多い地域」というデータがあります。
自転車に乗っていて自動車と接触してしまうケースもありますし、自転車で歩行者と接触してしまう事故もあるでしょう。
自転車には免許がなく、高齢者でも子どもでも運転します。事故は誰にとっても他人事ではありません。

この記事では自転車事故の特徴や過失割合、賠償金や慰謝料の計算方法などについて弁護士が解説します。

普段から自転車で移動されている方やご家族が自転車に乗られている方は、万が一にも自転車事故の被害に遭われてしまった時のために是非参考にしてみてください。

群馬県の自転車事故の割合は全国一位

自転車事故とは、自転車が当事者になる事故です。以下のようなパターンがあります。

  • 自転車と四輪車の事故
  • 自転車とバイクの事故
  • 自転車同士の事故
  • 自転車と歩行者の事故

この記事では主に自転車と四輪車の事故や自転車とバイクの事故で自転車が被害者になるケースを取り上げていきます。

群馬の自転車事故はなぜ多い?

実は群馬県は自転車事故の非常に多い地域です。

「自転車の安全利用促進委員会」という民間団体の調査によると、2021年における中高生の通学時の自転車事故発生件数について、人口1万人あたりの件数は群馬県がもっとも高いという結果が出ています。

高校生についてはこの調査が始まった2014年から8年連続でワースト1、中学生については2017年と2020年以外はワースト1という結果です。

自転車の安全利用促進委員会では「群馬県では県民の自動車保有率が高いので、自動車と自転車の接触事故が多いのではないか」と推測しています。

また全国ワースト 中高生、自転車通学中の事故 21年の群馬県(上毛新聞)

2021年の自転車通学時、1万人当たりの事故件数は群馬県の中高生が全国で最も多かったことが16日、民間団体「自転車の安全利用促進委員会」(東京都)の調査で分かった。

https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/176049

調査によって発表されているのは中高生の通学中の自転車事故のみですが、おそらくその他の年代でも自転車事故の割合は高いと考えられます。

群馬県に居住している限り、自転車事故は誰にとっても他人事ではないといえるでしょう。

 

自転車事故の特徴

自転車のピクトグラム自転車による交通事故には以下のような特徴があります。

自転車側が大ケガをしやすい

自転車と車やバイクが接触すると、当然自転車側が大ケガをしやすくなります。

入通院治療も長くかかりますし、後遺障害が残る可能性も高くなるでしょう。

自転車事故の被害に遭ったら、完治するか症状固定するまでしっかり療養すべきです。

自転車側が保険に入っていないケースが多い

自動車同士の事故の場合、双方が自動車保険(任意保険)に加入しているケースが多数です。その場合、保険会社が示談交渉を代行してくれるので被害者が直接相手の保険会社の担当者と話をする必要はありません。

しかし自転車事故の場合には、自転車側が保険に入っていないケースも珍しくありません。その場合、自転車に乗っていた被害者が自分1人で相手の保険会社と示談を進めなければならない可能性もあります。

保険会社の担当者は示談交渉のプロです。相手が保険会社でこちらが被害者本人の場合、被害者側が示談交渉で不利になってしまうリスクが高まってしまいます。

自転車側の過失割合が低くなる

自転車と自動車の交通事故の場合、自転車側の過失割合が低くなる傾向があります。

自転車は自動車と比べて車体も小さくスピードも出にくく、事故を避ける能力が低い「弱い立場」だからです。

たとえば同じように赤信号で運転して接触してしまった場合でも、自転車の過失割合と自動車の過失割合は同じになりません。基本の過失割合は、自転車側が30%、自動車側が70%となります。

自転車側の過失割合が0の場合の問題

自転車が交通事故に遭った場合でも、被害者が自動車保険に加入していれば自動車保険の対人対物賠償保険を適用できる可能性があります。その場合、自動車保険の担当者が相手の保険会社と示談交渉を進めてくれます。

ただし自転車の被害者の過失割合が0の場合、そうはいきません。過失割合が0の場合、対人対物賠償責任保険が適用されないので、保険会社の担当者が示談交渉を代行してくれないのです。その場合、自転車の被害者は自分1人で示談交渉を進めなければなりません。

大きく不利になってしまうリスクが高い状況といえます。

自転車と自動車の事故の過失割合

割合過失割合とは交通事故の結果発生に対する事故当事者それぞれの責任割合をいいます。
過失相殺の根拠になるので、被害者にとっても加害者にとっても重大な数字です。
自転車と自動車が交通事故に遭った場合、それぞれの過失割合がどの程度になるのか、みてみましょう。

3-1.信号機のある交差点で直進車同士の交通事故

信号機のある交差点で直進車同士が出会い頭で接触した場合の交通事故の過失割合は以下のとおりです。

自転車の信号機の色 自動車の信号機の色 自転車の過失割合 自動車の過失割合
0% 100%
80% 20%
10% 90%
60% 40%
30% 70%

信号機のない交差点で直進車同士の交通事故

信号機のない交差点で直進車同士が出会い頭で接触した交通事故の過失割合をみてみましょう。

事故の状況 自転車の過失割合 自動車の過失割合
同程度の道路幅 20% 80%
自転車が広路、自動車が狭路 10% 90%
自転車が狭路、自動車が広路 30% 70%
自動車に一時停止規制あり 10% 90%
自転車に一時停止規制あり 40% 60%
自転車が優先道路 10% 90%
自動車が優先道路 50% 50%
自動車が一方通行違反 10% 90%
自転車が一方通行違反 50% 50%

左折自動車と自転車の巻き込み事故

左折する自動車が直進する自転車を巻き込んで事故になってしまった場合の過失割合は以下の通りです。

自動車が先行していた場合

自動車が前を走っていて後ろから来た自転車を巻き込んだ場合、自動車の過失割合が90%、自転車の過失割合が10%になります。

自転車:自動車=10%:90%

 

自転車が先行していた場合

自転車が前を走っていて、後から追い抜いてきた自動車が左折時に自転車を巻き込んでしまった場合、自転車の過失割合が0%、自動車の過失割合が100%になります。

自転車:自動車=0%:100%

対向方向から来た自転車と自動車の接触事故

対向方向から自転車が直進してきて、左折する自動車と接触してしまった場合、自転車の過失割合が15%、自動車の過失割合が85%となります。

自転車:自動車=15%:85%

センターオーバーした事故

自転車や自動車がセンターオーバーすると、高い危険を発生させます。センターオーバーした側の過失割合が当然高くなります。以下で過失割合をみてみましょう。

自転車がセンターオーバーした場合

自転車がセンターオーバーして自動車と接触してしまった場合、過失割合は自転車と自動車が50%ずつになります。自転車は車体が小さく乗り手がダメージを受けやすいので、たとえセンターオーバーしても過失割合が50%に抑えられるのです。

自転車:自動車=50%:50%

自動車がセンターオーバーした場合

自動車がセンターオーバーすると、自動車に高い過失割合が認められます。

自動車側の過失割合が100%、自転車側は0%になります。

自転車:自動車=0%:100%

修正要素について

上記でご紹介した過失割合は基本の過失割合であり、すべての事案でその数値になるとは限りません。過失割合には「修正要素」があるためです。

修正要素とは、個別事案に応じて過失割合を加算・減産する事情です。

たとえば自転車に著しい過失があれば、自転車側の過失割合が上がります。著しい過失とは、通常想定されている不注意の限度を上回る過失です。片手運転をしたり並走運転をしたりすると、著しい過失がみとめられます。著しい過失がある場合、5~15%程度の過失割合が足されます。

重過失とは故意にも匹敵するほどの重大な過失を意味します。たとえば飲酒して平常な運転ができないのに運転したケースなどでは重過失が認められます。重過失があると、著しい過失よりもさらに大きな過失割合が加算され、10~20%過失割合が上がります。

正しい過失割合を算定するには修正要素もきちんと当てはめなければなりません。自分で過失割合を検討してもわからない場合や保険会社から提示された過失割合に納得出来ない場合には弁護士へ相談しましょう。

自転車事故の慰謝料の相場とは

治療費のイメージ自転車事故に遭った場合、どの程度の慰謝料を請求できるのでしょうか?

慰謝料には入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。

  • 入通院慰謝料…ケガをして入通院治療を受けた場合に支払われる慰謝料
  • 後遺障害慰謝料…後遺症が残って後遺障害認定を受けたときに支払われる慰謝料
  • 死亡慰謝料…被害者が死亡してしまった場合に遺族が請求できる慰謝料

慰謝料の金額は、当てはめる慰謝料計算基準によって変わります。交通事故の慰謝料計算基準には以下の3種類があるためです。

自賠責基準

自賠責保険が交通事故の賠償金(保険金)を計算する際に適用される基準です。3つの基準の中でもっとも低額になります。

任意保険基準

任意保険会社が被害者と示談交渉するときなどに適用する保険会社独自の基準です。自賠責基準より多少高い数字になるケースが多数です。

弁護士基準(裁判基準)

弁護士や裁判所が利用する法的基準です。3つの基準の中でもっとも高額になります。

以下では法的基準である弁護士基準を当てはめた場合の慰謝料相場をご紹介します。

入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料は、被害者のケガの程度によって異なります。

打ち身や擦り傷などの軽傷、自覚症状しかないむちうちの場合の入通院慰謝料の金額は以下の通りです。

入院   1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4ヶ月 67 955 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

上記以外の通常程度の慰謝料の金額は以下の通りです。

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 326 323
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286 301 316 324 329
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331
9ヶ月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333
10ヶ月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の金額は認定された後遺障害の等級によって異なります。当然、等級が高く重症のケースで慰謝料も高額になります。

等級ごとの後遺障害慰謝料の金額相場は以下の通りです。

認定された後遺障害の等級 弁護士基準の後遺障害慰謝料 自賠責基準の後遺障害慰謝料
1級 2800万円 1150万円(要介護1650万円)
2級 2370万円 998万円(要介護1203万円)
3級 1990万円 861万円
4級 1670万円 737万円
5級 1400万円 618万円
6級 1180万円 512万円
7級 1000万円 419万円
8級 830万円 331万円
9級 690万円 249万円
10級 550万円 190万円
11級 420万円 136万円
12級 290万円 94万円
13級 180万円 57万円
14級 110万円 32万円

任意保険基準は各任意保険会社によって異なるので、ここでは記載しません。

ただ自賠責基準より多少高い程度の金額になるケースが多数であり、弁護士基準の金額には届かないケースがほとんどです。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の金額は、被害者に扶養されていた人がいたかどうかで変わります。

弁護士基準の場合の死亡慰謝料の金額相場は以下の通りです。

  • 被害者が一家の支柱だったケース…2800万円程度
  • 被害者が母親、配偶者だったケース…2500万円程度
  • その他のケース…2000万円~2500万円程度

なお物損事故では慰謝料は払われません。慰謝料が支払われるのは人が死傷した人身事故のケースのみです。

自転車事故で慰謝料を受け取るまでの流れ

STEP自転車事故で慰謝料を受け取るまでにはどのような流れになるのか、みてみましょう。

STEP1 完治または症状固定まで治療を継続する

事故に遭ったら、まずはケガの治療を受けなければなりません。
治療は「完治」または「症状固定」するまで継続しましょう。
完治とはケガが完全に治ること、症状固定とは完治していないけれども症状がもはや改善されなくなった状態をいいます。
完治や症状固定については医師が判断するので、医師が「もうそろそろ治療を終えても大丈夫」と判断するまでは通院を継続すべきです。

まだ症状が残っているのに、相手の保険会社から「治療費の打ち切り」を宣告されたような場合にはすぐに弁護士に相談しましょう。

STEP2 後遺障害等級認定を受ける

症状固定して治療を終え、後遺症が残っている場合には自賠責で後遺障害等級認定を受けましょう。
「むちうち等の軽い症状は認定されないのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、痛みやシビレなどの症状が残っており、自賠責保険の基準を満たしていれば後遺障害等級の認定を受けることが可能です。

自転車事故の場合、顔や体に傷跡が残るケースもあります。そのような場合でも、傷跡の大きさによって後遺障害等級が認定され、増額した慰謝料を受け取る事が可能です。

後遺症が残った、もしくは残るような場合には弁護士にご相談ください。

STEP3 示談交渉を開始する

後遺障害等級認定を受けたら、保険会社と示談交渉を開始しましょう。
示談では慰謝料や休業損害、その他の賠償金の金額を相手の保険会社と話し合って決めます。

ただし、相手の保険会社が提示する金額は不十分である事がほとんどです。損をしないためにも、金額の提示が出たら一度弁護士に金額の査定を依頼する事をおすすめします。

STEP4 示談が成立する

話し合いによって合意ができれば示談が成立します。
合意できれば示談書を作成し、慰謝料を含めた賠償金が支払われます。

STEP5 示談が成立しない場合には訴訟を起こす

示談交渉をしてもまとまらず決裂してしまった場合には、訴訟を起こして賠償金を請求しなければなりません。
訴訟で和解した場合には和解したタイミング、判決が出たら判決が出たタイミングで慰謝料を含めた賠償金が支払われます。
ただし、訴訟になると解決まで最低でも半年から多い時で年単位の期間を要する事があります。その上、ケースによっては示談交渉の時よりも不利な内容で和解や判決が出る可能性もあります。
訴訟を起こすかどうかは慎重な判断が必要です。

自転車事故で適切な慰謝料を受け取るには弁護士に依頼を!

弁護士自転車事故で適正な慰謝料を計算するのは簡単ではありません。慰謝料以外にも休業損害や逸失利益などの賠償金も計算し、請求する必要があります。素人の方では適正な金額を算定するのが難しくなるでしょう。

また被害者の方が任意保険会社と示談交渉する場合には、低額な任意保険基準を当てはめられて慰謝料額を下げられます。法的に適正な弁護士基準で計算するには示談交渉を弁護士に依頼しなければなりません。

つまり被害者が自転車事故で適正な慰謝料を受け取るには、弁護士によるサポートが必要といえます。自転車事故の示談交渉で不利益を受けないように、なるべく早いうちに弁護士へ依頼しましょう。

山本総合法律事務所に相談するメリット

弁護士一同山本総合法律事務所では創業以来、交通事故事案に積極的に取り組んできました。

日頃から熱心に交通事故案件の研究を行っており、常に最新の情報にアップデートしています。複数の弁護士がチームを組んで1つ1つの交通事故案件に対応しています。累積のご相談件数は5000件を超え、群馬でも有数の解決事例を有していると自負しております。

群馬県は車社会であり、自転車事故の件数も非常に多数です。自転車事故でお困りの方がいらっしゃいましたらお早めにご相談ください。

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