交通事故で負傷した被害者に後遺障害が残った場合、後遺障害により労働能力の全部または一部を喪失したことにより、将来、労働により得られたはずであった収入を得ることができなくなったことによる損害として、加害者に対して後遺障害逸失利益の支払いを求めることができます。
そして、この後遺障害逸失利益は、基礎となる収入、後遺障害による労働能力喪失の程度および後遺障害により労働能力喪失の期間の3つの要素によって算定されることになります。すなわち、労働能力喪失期間とは、交通事故により後遺障害を負った被害者の労働能力が喪失した状態がどのくらいの期間続くのかをあらわすものです。

交通事故により後遺障害が残ってしまうような怪我を負ってしまった場合、基本的に後遺障害というのは一生残るというのが通常ですので、この労働能力喪失期間は一生続くことが原則となります。
そこで、裁判実務においては男女共に67歳までは仕事ができるものとして、たとえば39歳のときに交通事故にあい、40歳で症状固定となり後遺障害が残ってしまった場合ですと67歳から40歳を引いた27年が労働能力喪失期間として後遺障害逸失利益を算定することが原則的といえます。
ただし、後遺障害の症状等により、労働能力喪失期間が制限される場合があり、例えば、むち打ち症の場合、症状の程度に応じて、3~5年程度に制限される場合がほとんどです。

また、実際には70歳を過ぎている方でも毎日元気に仕事をなさっている方もおられます。そういった方が交通事故にあわれてしまった場合には、67歳を過ぎてしまっているので労働能力期間がゼロになってしまうのかというとそうではありません。こういった場合には現実を優先させて、症状固定時を基準として平均余命の2分の1を労働能力喪失期間として後遺障害逸失利益を算定することになります。