A 慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛に対する填補としての賠償がされるものです(民法710条)。そして、被害者以外にも、死亡した被害者の一定の親族(「被害者の父母、配偶者及び子」)については、民法711条で固有の慰謝料請求権が認められています。
  
  これが近親者の慰謝料です。

  近親者の慰謝料を請求できる主体については、民法711条に規定された「被害者の父母、配偶者及び子」に限られるわけではなく、被害者との間に同条所定の者と実質的に同視することができる身分関係が存在すれば、その者も同条の規定の類推適用により固有の慰謝料を請求することができると解されています(被害者の妹につき最高裁昭和49年12月17日判決)。
  
  もっとも、上記判例においては、「被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた」として上記のとおり請求できるものとされており、祖父母、孫又は兄弟姉妹については、個別の事案において慰謝料の賠償が認められるか否か、認められるとした場合の金額の相当性の判断に当たり、被害者との間に特別に緊密な関係があったかどうか等が問題となり、その点の具体的な主張・立証が必要となります。

  なお、被害者が死亡していない場合(傷害を負った場合)であっても、被害者の近親者が、被害者が生命を害された場合にも比肩すべき精神上の苦痛を受けた場合は、民法709条と710条に基づき、被害者の近親者が固有の慰謝料を請求し得る余地があります(最高裁昭和33年8月5日判決)。