1 はじめに

交通事故に遭った場合、賠償請求できるのは、一般的には、治療費、収入を基礎として計算した休業損害、後遺障害逸失利益です。
しかし、大学生の場合、就職して働いている方が事故に遭った場合とは違う点が出てきます。

それは、例えば以下のような点です。

2 学費

大学生の場合、大学に学費を支払ったけれど、事故により大学を休まねばならなくなった、といったことがあり得ます。

⑴ すでに支払った学費等

事故のため、すでに支払った学費等が無駄になった場合、その学費等について、賠償を請求することができます。

⑵ 事故により支出した学費等

入院や通院のため、被害者が休学や留年せざるを得なくなり、そのため、学費等を新たに支出しなければならなくなった場合、その分についても、賠償を請求することができます。

3 休業損害

大学生の場合、全く収入がない方も多く、その場合は、休業損害は請求できません。
しかし、⑴アルバイトをしていた場合、⑵そのほか、一定の場合には、休業損害が請求できます。

⑴ アルバイト代

大学生でも、アルバイトをしており、現実の収入がある方がいます。
その場合には、事故でアルバイトを休まなければならなくなったときは、その収入を基礎として計算した休業損害が認められます。

⑵ 卒業後得られたはずの給与

治療のため、大学の卒業や就職の時期が遅れてしまった場合は、就職すれば得られたはずの給与額が損害として認められます。
就職先が内定している場合(や、事故により内定が取り消されてしまった場合)は、その就職先の給与額を基礎にして、休業損害の額を計算します。

就職先が決まっていない場合、就職先の給与額をはっきり決められない場合などは、大学卒の人の初任給平均値などを参考に、休業損害の額を計算します

4 後遺症逸失利益

後遺症逸失利益は、後遺症により、事故前とは同じように働けなくなった場合に、被害者が交通事故に遭わなければ将来得られたであろう利益のことをいいます。
ただ、大学生は、事故のとき収入がないか、収入が少ないのが一般的ですので、事故前と比べても、収入が減っていないということもあり得ます。

しかし、大学生は、そのときは収入がなかったとしても、大学卒業後は、就職して収入を得るようになります。
そこで、大学生についての後遺症逸失利益の額は、大卒者の賃金センサスを用いて計算し、きちんと後遺症逸失利益を請求することができます。

なお、大卒者の場合、実際に働き出すのは大学卒業後なので、その時点から労働能力を喪失したものとして計算します。

5 さいごに

このように、大学生の方が被害者となる事故の場合、特に問題となる点が多くあります。
適切な賠償を受けるため、一度、交通事故に詳しい弁護士に相談してみて下さい。