1 鎖骨骨折が起きやすい交通事故

鎖骨骨折は、自転車やバイクを運転中、事故に遭い、手や肘、肩を道路などに打ち付け、その衝撃が鎖骨に伝わって発生することが多いです。

2 鎖骨骨折の種類と治療方法

⑴ 鎖骨骨折は、骨折した箇所により、
① 鎖骨近位端骨折
② 鎖骨遠位端骨折
③ 鎖骨骨幹部骨折、 に分かれます。
  

① 鎖骨近位端骨折とは、鎖骨の心臓に近い部分(近位端)が骨折することをいいます。鎖骨近位端骨折が起こることはかなりまれなことです。治療としては、基本的に、保存療法が行われます。

② 鎖骨遠位端骨折とは、鎖骨の肩に近い部分(遠位端)が骨折することをいいます。鎖骨遠位端骨折は、①と③の鎖骨骨折よりも治りにくいと言われています。

治療としては、保存療法を行う場合もありますが、手術による治療を行うことが多いです。鎖骨遠位端骨折の場合、肩関節の可動域に制限が残る場合があります。

③ 鎖骨骨幹部骨折とは、鎖骨の近位端と遠位端の間の真ん中の部分が骨折することをいいます。鎖骨骨折の8割以上が、この鎖骨骨幹部骨折です。
治療としては、基本的に保存療法が行われますが、手術を行う場合も増えてきています。
   
3 鎖骨骨折による後遺症

⑴ 鎖骨骨折の場合、
① 鎖骨の変形やそれに伴う痛み、
② 肩関節の可動域制限
が後遺症として認定される可能性があります。

⑵ 
① 鎖骨の変形
鎖骨の変形は、裸になったときに変形が確認できる場合は、12級5号の後遺症と認定されます。

鎖骨が変形した場合、それに加えて痛みがあるかなどによって、状況が変わってきます。
  
〇 鎖骨が変形しているが痛みはない場合
鎖骨が変形しているだけで痛みがない場合は、たしかに12級5号は認定されます。しかし、それにより労働能力が減少するとはいいがたく、後遺障害逸失利益の賠償を当然請求できるわけではありません。もっとも、等級に応じた後遺症慰謝料などが認められる可能性があります。

〇 変形により骨折部分に痛みがある場合
変形により骨折した部分に痛みがあったとしても、この痛みは、骨の変形の周辺症状に含まれてしまいます。そこで、変形と別に等級が認定されることはありません。

〇 変形により運動痛が認められる場合
変形により運動痛が認められる場合とは、鎖骨の変形により、肩の関節を動かしたときに痛みが生じる場合です。この場合は、労働能力が減少するということができます。また、この痛みは、骨の変形の周辺症状には含まれません。そこで、後遺障害逸失利益の賠償請求ができます。
 

⑵ 肩関節の可動域制限
肩関節の可動域制限は、鎖骨の遠位端骨折部の変形の場合、生じる可能性があります。鎖骨の遠位端骨折だと、骨折部分が肩関節に近くなるからです。

骨折した方の肩関節の可動域が、骨折していない方の肩関節の可動域と比べて4分の3以下である場合、12級6号が認定されます。そして、鎖骨の変形による12級5号と併合され、併合11級が認定されます。
骨折した側の肩関節の可動域が、骨折していない方の肩関節の可動域と比べて2分の1以下である場合、10級10号が認定されます。

4 最後に

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鎖骨骨折は、事故が起きたとき、むち打ちに次いでよく生じるものといわれています。ご自身や周りの方が鎖骨を骨折してしまった場合に、適切な後遺障害等級の認定を受け、適切な賠償を受けるため、是非一度交通事故に精通した弁護士に相談してみて下さい。